商品名変更で売り上げ増

先日KFC(ケンタッキーフライドチキン)が「サンド」を「バーガー」に変更するとのアナウンスがありました。

私は「へー、確かにバーガーだな」っと思ったぐらいで特に何か思ったわけではなかったのですが、その後売り上げが伸びたとのニュースを目にして関心しました。

KFC、『サンド』名称変更した真意を聞く 否定的な意見も『バーガー』売上が大幅増になったワケ(オリコン) - Yahoo!ニュース

KFCの担当者によれば、KFCの「サンド」はハンバーガーであるにもかかわらず、検索でハンバーガーにヒットしずらい状態だったのが、「バーガー」に変更したことによって、ハンバーガーを食べたい人の検索にヒットするようになったのだとか。

私は、KFCがハンバーガーを売っていることを知っているので、ハンバーガーを食べたいときに選択肢に入りますが、確かに、KFCにハンバーガーというイメージがない人々にとっては、「バーガー」で検索した時に、ヒットするかしないかは大きな違いかもしれませんね。

KFCのニュースを見て、そういえば、商品名を変更しただけで大きく売り上げを伸ばしたケースがあったなあと思いだしたので、今回はいくつの例をご紹介します。

お〜いお茶

今では缶やペットボトルの緑茶というのは当たり前の存在です。「お茶は家で飲むもの」という固定概念を覆し、アウトドアで飲むものとして世界で初めて缶飲料の緑茶を発売したのは、伊藤園。1984年のことです。当時の名前は「缶入り煎茶」でした。

しかし、売れ行きはイマイチ。駅弁などと一緒に売るという販売戦略で徐々に取扱店舗は増えていきましたが、消費者からは「読み方がわからない」「まえ茶?」「ぜん茶?」という問い合わせが殺到したそうです。

そこで、学生への意識調査を行ったところ、「煎茶」(せんちゃ)という呼び名が浸透していないことが発覚。そこで1989年に「お〜いお茶」に改名。もともと、同社の茶葉製品のテレビCMで使われていたフレーズをそのまま商品名にしました。

参照:お〜いお茶STORY|伊藤園

発売から4年での改名により、売り上げは6倍近い約40億円に急増しました。

鼻セレブ

花粉症の人にとって、春先はティッシュが手放せません。しかし普通のティッシュでは、何度も鼻をかんでいると鼻が痛くなったりガサガサになったりしてしまいます。そこで花粉症マスターが取り出すのがネピアの「鼻セレブ」。

今でこそ、「鼻セレブ」はティッシュ界においてその地位を不動のものとしていますが、「ネピア モイスチャーティシュ」として発売された1996年当時はまだ保湿ティッシュというカテゴリー自体が認知されていなかったことに加え、パッケージが地味だったこともあり、なかなか店頭で手に取ってもらえないという状況が続いていました。

使ったことのある人ならばそのよさに気付きますが、まだSNSなどはない時代。口コミだけではなかなか売り上げは伸びません。そこでネーミングやデザインを思い切って変えることに。プロジェクトを発足し、100案以上の商品名案が出されたなかで、「鼻セレブ」という名前が採用されたそうです。

同時にパッケージも、うさぎやゴマフアザラシなどを採用、「ふわふわ」「やわらかい」といったイメージに変更し、2004年にリニューアル。

売り上げは10倍以上に跳ね上がりました。

BOSS

サントリーの「BOSS」(ボス)といえば、コーヒー飲料の代表格。発売は1987年。「WEST」という名前でデビューしました。しかし、ほかの缶コーヒーに比べると、知名度はイマイチという状態が続きました。

そこで1992年にブランド名を刷新。「BOSS」としたことで大ヒットにつながります。その後18年続くロングセラーとなっているのはご存知の通りです。

この改名の一番のポイントは、インパクト。

たしかに、「WEST」では何の商品かわかりづらいですし、仮にコーヒー飲料だと知っていても、どんな味なのかということを想像することが困難です。一方「BOSS」は、男らしさや渋さといった面が強調され、どんなコーヒーなのかイメージが湧きやすいように感じます。

ちなみにサントリーによれば「BOSS」のネーミングの由来は「働く人の理想という意味が込められている」だそうです。「BOSS」のコンセプトは「働く人の相棒」で、コーヒーに頂点を目指したいという意味も込められているのだとか。

通勤快足

今からは約25年前の1981年、アパレル企業として有名なレナウンからある商品が発売されました。

紳士用の抗菌防臭靴下「フレッシュライフ」です。
発売した年の売上が3億円だったそうですから、まあまあヒットした商品でした。

しかし、その後の売上はパッとしなかったようです。
そこで起死回生のために、1987年、商品名を「フレッシュライフ」から「通勤快足」に変更。

年間の売上は13億円になり、1989年にはなんと45億円という大ヒット商品になりました。

「フレッシュライフ」という名称より「通勤快足」の方が「ビジネスマンのための、通勤時に使われる、足に関連する健康用品か衛生用品」とイメージできますよね。

まるでこたつソックス

靴下メーカー・岡本のヒット商品「まるでこたつソックス」。冬場の冷え対策グッズとして若い女性に人気を集めているが、もとは「三陰交をあたためるソックス」という、中高年、シニア層をターゲットにした商品でした。

「さまざまな企業や団体と開発した商品だったため、機能性を伝えることばかりが先立ってしまった」そうで、売り上げは今いちでした。そこで、同社では根本からブランドコンセプトやターゲットを見直しました。

社内ミーティングで、市場や生活者のマインドを分析し、消費者視点での分かりやすさを重視したネーミングを検討した結果、「まるでこたつソックス」へと変更されました。

15年には“足もとから、ちょっといいこと”をコンセプトに据えた「靴下サプリ」というシリーズのひとつとして「まるでこたつソックス」の販売を開始。

「サプリメントをイメージした白いパッケージが他社製品と差別化され、すぐに売れ筋商品となりました。予想を超える結果に、一時は欠品したことも。

「三陰交をあたためるソックス」の発売年度(13年度)と商品名変更後(16年度)を数量ベースで比べると、17倍以上の売り上げとなりました。

大江戸線

こちらは売上改名によって売り上げを伸ばした例ではないのですが、名称変更の例として面白い例です。

「地下鉄の路線としては、日本一の長さ」「六本木駅の深さは、地下鉄の駅としては日本一」と話題に事欠かないこの路線の名称の第一候補は「東京環状線(愛称:ゆめもぐら)」だったそうです。

しかし、厳密には環状ではないなどを理由に、当時当選したばかりの石原都知事が待ったをかけ、「俺は『大江戸線』なんてのがいいと思う」

とコメントしたために、その都営地下鉄は現在の名称である「大江戸線」に決定したのです。

確かに「東京環状線」や「ゆめもぐら」より、大江戸線の方が親しみやすくネーミングだと思います。

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