認定支援機関(認定経営革新等支援機関)とは、中小企業や小規模事業者の経営課題の解決を支援する機関です。
2012年8月に施行された「中小企業経営力強化支援法」に基づき、専門知識や一定の実務経験を持つ支援機関(税理士、弁護士、金融機関など)を国が審査し、「経営革新等支援機関」として認定しています。
「売上を拡大したい」「生産性の向上を図りたい」といった経営課題を抱えている中小企業・小規模事業者は、認定支援機関(認定経営革新等支援機関)に相談することで、財務分析や事業計画の作成・実行などのサポートを受けることができます。
また、事業計画の内容によっては、国から費用の補助や税制優遇を受けられる可能性もあります。
認定支援機関にできる業務には【補助金申請】【経営改善計画策定の支援】【資金調達の支援】【税制優遇制度の活用】の4つがあります。
それでは、それぞれの業務を詳しく見てみましょう。
1. 認定支援機関にできることその1【補助金申請】
認定支援機関は補助金の支援が可能です。
具体的には、「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」と「事業承継・引継ぎ補助金」の3種類です。
事業再構築補助金
ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済環境の変化に対応するために、中小企業等の新分野展開、業態転換、業種転換等の思い切った「事業再構築」の挑戦を支援する補助金です。
ものづくり補助金
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の略称。
中小企業が商品・サービスの開発や生産体制の効率化を達成するため、設備投資などを支援する補助金です。
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継を円滑に進めるため経営方針を刷新する、または新規事業に取り組むなどの活動に対して支援される補助金です。
後継者不足が年々深刻化している中小企業を支援する施策として注目を浴びています。
いずれの補助金も中小企業の課題解決に結びつく施策となっており、補助金申請のため認定支援機関を利用する中小企業が増えています。
2. 認定支援機関にできることその2【経営改善計画策定の支援】
経営改善計画策定の支援も認定支援機関ができる業務の1つです。
「経営改善計画策定支援事業」と「早期経営改善計画策定支援事業」の2種類があり、それぞれ以下の違いがあります。
概要 | 補助金上限 | |
---|---|---|
経営改善計画策定支援事業 (通常枠) | 経営改善計画に関する費用のうち2/3の補助を受けられる。 | 310万円 |
早期経営改善計画策定支援事業(通常枠) | 早期経営改善計画策定に関する費用のうち2/3の補助を受けられる。 | 25万円 |
大きく違う点としては補助金の上限額です。
経営改善計画策定支援事業では310万円の上限に対し、早期経営改善計画策定支援事業では25万円の上限となっています。
その他、対象となる事業者に違いがあり、経営改善計画策定支援事業の対象となる事業者は、借入金の返済負担等、財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者が対象となりますが、
早期経営改善計画策定支援事業では、資金繰りの管理や自社の経営状況の把握などの基本的な経営改善に取り組む中小企業者等が対象になるという点が特徴で、財務状況に問題を抱えていなくても対象になります。
3. 認定支援機関にできることその3【資金調達の支援】
資金調達も認定支援機関が支援できる業務です。
中小企業の資金調達を支援でき、調達先は「日本政策金融公庫」と「信用保証協会」の2種類となっています。
認定支援機関を介して資金調達をおこなうことで、上記の機関から優遇金利で資金調達が可能です。
日本政策金融公庫では「中小企業経営力強化資金」の融資制度を活用して資金調達でき、保証人・担保不要な点が大きなメリットです。
信用保証協会では「経営力強化保証制度」の利用時に、保証料を減免しながら資金調達できます。(金融機関と認定支援機関の連携支援を受けることが条件)
4. 認定支援機関にできることその4【税制優遇制度の活用】
認定支援機関では税制優遇制度を利用でき、以下の税制優遇を受けられます。
- 先端設備等導入計画
- 事業承継税制
先端設備等導入計画は2018年から実施された制度で、設備など一定の条件を満たした中小企業に対し、固定資産税の優遇を受けられる制度となっています。
生産性を向上させる設備投資に対して税制優遇される制度で、認定支援機関のサポートが必要です。
事業承継税制は、後継者が事業承継に伴う株式の相続時などで支払う相続税や贈与税を猶予してもらえる制度のことで、制度の利用には認定支援機関のサポートが必要となります。